感想を書きます。
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全体の感想
沖縄を舞台としたビジュアルノベル。主人公が天涯孤独の身になるところから物語が始まる。ミステリアスな異国情緒ある女の子と一緒に住むことになる流れもスッと入ってくる。導入の段階でびびっと来るものがあった。
孤独な人間二人が一つ屋根の下。料理、洗濯、風呂、諸々、生活の積み重ねで仲が深まっていくんですね。いつの間にか相手へ抱く感情が変わっていて、その初めての感情に戸惑う。同居モノの良いところが詰まっている。
沖縄という舞台も最高です。あまりにも活きすぎている。なんとも形容しがたい、ゆったりとした雰囲気。なんか仕事辞めて1年間くらいボーっと過ごしたい、みたいな欲が浮かんでくる。こういう雰囲気に浸れるというのも、ノベルゲームの魅力のひとつですね。
ストーリーは一本道で、二人のサブヒロイン、一人のメインヒロインがいる。民間信仰要素が色濃く含まれるシナリオは読み応えがあり、テキストも癖がなく読みやすかった。
※ 以下、本編のネタバレがあります。
台詞
「お前がいたいだけここにいて、いたくなくなったら出ていけばいい」
等身大な台詞でぐっときた。混じりっけなしの本心っぽいというか、言葉の節々から主人公の人格が見えてくるというか、そういう台詞が結構あって良かった。
アカリ√
まず分岐選択の演出が最高でしたね。こういうことやっていいんだ、いやこういうことやっていいんだよな、となった。
耳年増な女の子が無自覚だった恋心を自覚してしまう瞬間。報われない恋。サブヒロインの宿命。切なく、でも美しい。こういうのが大好き。
「偉いよ、アカリは」
将来の夢を持って、努力して、実行に移す。その時点でまぶしすぎた
ここも良かったな~。だからこそ託し、応援をするんですよね。
紬√
「嘘だよ。君は調子のいいことばかり言うピエロだもの」
ここで本当にブチ抜かれましたね。これはすごい。主人公の本性を射貫いた、矢のような言葉で。こう、曖昧な欺瞞を急に刺してくる感じ。
この中盤で一旦ストレス与えておくのもメリハリが効いていて上手いな~と思った。ちゃんとフラストレーションを与えてくれる。登場人物同士の対立が大好きなので、リルゥが比嘉を「許せない」と評するのも良かった。
冷蔵庫の半分を占めるビール缶をどかしながら
好きなテキスト。描写の上手さが光ります。
リルゥ√
メインヒロイン。本妻の風格。こういうゲームって自分は割とサブヒロインが好きになりがちなんですが、この作品はちゃんとメインヒロインが一番好きになった。
傍若無人で怖いものなしのように見えて、意外と自己評価が低い。自分の感情を押し込めて一歩引いてしまうところがある。料理を褒められたらうれしくて、アニメに影響されて口癖が移ってしまったり、そういう積み重ねでやられてしまう。
生い立ちが明かされるにつれ、神秘性は失われていき、魔女は一人の少女となる。そして物語はボーイミーツガールに収束する。終盤のシナリオには滅びの美学を感じた。ゆっくりと終わっていく過程。二人だけの逃避行。良かったです。
おわりに
登場人物みんなに幸あれ!と思えるような作品でした。いやー良かった。