『CHAOS;CHILD』感想
2021-08-03
# ノベルゲーム

steamセールで買って、3週間くらいでクリアしました。面白かった。

『CHAOS;CHILD』はシュタゲの会社が作った「科学アドベンチャーシリーズ」第4弾のノベルゲーム。ギャルゲともいう。SF要素はあんまり無くて、ジャンルとしては群像劇ミステリー+サイコスリラー+時々能力バトルといった印象。

シュタゲ以前の作品だと勝手に思ってたけど、ちゃんと調べてみたら2014年の作品だった。全体的に00年代のエロゲ感があり、古い作品だと思っていたのでちょっと意外だった。

OPのここすき。登場人物が並んで立って髪と服が風に靡くやつ。
OPのここすき。登場人物が並んで立って髪と服が風に靡くやつ。

以下、ネタバレに気を付けつつの感想。

掴みとしてはかなり良かった。学園周辺で次々と発生する猟奇殺人事件。過去の事件になぞらえた法則に気づいた主人公たちが、その謎を追っていくという流れ。分かりやすく隠ぺいされている主人公とヒロイン達の過去。このゲーム、共通ルートが結構長くて(30時間くらいかかった)テキスト量も多いんですが、最後まで読み切れる程度のリーダビリティはあった。

主人公の性格が云々みたいな前評判を聞いたけど、個人的にはそこまで気にならず。周囲の人間を情弱と見下して自らの位を保とうとする態度も、その後の展開で結局何も知らないのは主人公だったというカウンターがちゃんと用意されていたりする。このゲームの主人公はあらゆる面でフルボッコにされるので、そういうところも影響していそう。多分10回以上は嘔吐描写があった。

「心への侵食」をひとつのテーマとした作品とのことで、いわゆる妄想シーンがよく挿入される。主人公やプレイヤーの期待を次々と裏切っていくことによって、じわじわと恐怖がにじみ出るような作品を志向しているらしい。それ自体は分かるのだけど、ショッキングなシーンを描いてプレイヤーを驚かせておいて、実はこれ全部主人公の妄想でした、という描写が何回も描かれるのは流石に辟易とするものがあった。結局それは夢オチなわけで。最初こそ新鮮に驚きはしたけど、繰り返されるとメタ的にこれ妄想パターンだなと理解できてしまい、ちょっと白けた感じになってしまったのは否めない。

ヒロイン枠の1人である来栖乃々というキャラのことが序盤から結構苦手で、こういうキャラゲーでここまで嫌いだな~となるキャラはあんまりなかったので割と辛いものがあった。自分は隠し事をしておきながら、皆に隠し事は無しだとなんの衒いもなくいってしまえる面の皮の厚さ、「自分は姉として弟を守らねばならない」という信念でことあるごとに主人公を安全に安全にとコントロールしてこようとするところ、特に感情ベースで攻めてくるのが嫌で「私達は家族なんだから」「心配なの」と泣き落としを決められると、こちらは気持ちよく謎の探索をしたいのに、言いようの無い罪悪感を抱きながら物語を進めることになる。

とまあ散々に言いつつも、来栖ルートを読んだ瞬間全てが裏返って普通に好きキャラになってしまったのはかなり凄い体験だった。このタイプの嫌さはどう繕っても挽回できないだろうと全く期待していなかったので本当に驚いた。来栖が嘘をつかざるをえなかったという状況を主人公にも経験させて言外でフォローするのも上手かった。嘘に塗れた生活の中にあったたったひとつの本当みたいなやつ、好き。

ストーリー全体としては、9章終盤からがピークで、それ以降は掛け値無しにずっと面白かった。それに対して、序盤中盤の1~8章はテキストが長いのもあり結構きつかったかも。キャラに愛着湧き始めたのが共通ルート終わってからくらいだったので。もうほとんど有村雛絵さんの可愛さを頼りに読み進めていた気がする。普段は飄々としてるのに死の恐怖で半狂乱になっちゃう8章のシーンとかかなり良かった。

とにかく主人公がボコられる物語なので人を選ぶゲームだなとは思うものの、刺さる人にはぶっ刺さる作品だと思った。退屈な時間も多かったものの、トータルで見ればプラスで、物語の結末もかなり自分好みだったので良かった。良い作品でした。

以下ネタバレ有り感想















作中で一番興奮したの来栖ルート終盤の来栖VS尾上かもしれないな。この時点ではプレイヤー視点でも来栖にヘイトが向いていたので、「嘘で塗り固めた半生のくせに、苦し紛れについた嘘は杜撰だな!」が痛快すぎた。ヒロイン同士のガチバトルがある作品が大好き。9章以降で尾上ちゃんの株が上がりまくりだったんだけどここで最高潮に達した感ある。

あと来栖ルートでいうと有村ちゃんが南沢に来栖って呼んじゃうシーンが、南沢がめちゃくちゃ焦り顔になっている所を含めて妙にかわいくて好きだった。

TRUEルート、エンドロールが流れ始めたところで「えっ、これで終わりなの!?割とぶん投げたな......」になったけども、後日談でかなり綺麗に〆てくれた。尾上と道は分かつことになれど、最後の「そうして僕たちは一緒に生きていくんだ」というテキストが良い。こんなに良い別離エンドってあるんだ。