『アメイジング・グレイス』感想
2021-06-03
# ノベルゲーム

久々のエロゲ。面白かった。以下、ネタバレありありの感想です

それぞれの世界、視座

オーロラという壁に閉ざされた世界。そこに住んでいる人たちは外は既に滅んでいると教えられるが、やはり壁の外に興味を持つ生徒は当然いて。物語の中でも壁内で細々と生きていくのではなく外に出ること、それこそが自由だみたいな話があって、そういう話をやっていくのだろうと思っていた。実際その通り、外に出ようという話をやっていくのだけど、この雰囲気を作ってからの、12章でのコトハさんの台詞がメチャクチャ良かった。

「でも、ここは私にとってたったひとつの、かけがえない、どこまでも広がっていた世界なんだ」

このカウンターパンチが最高。この壁に囲まれた町こそが、コトハさんにとっての世界そのもので、それは考えてみれば当たり前の視座で、だからこそぐっと刺さるものがあった。

選択するということ

2人のループ者が存在するという構成。主人公が、プレイヤーが切り捨てたルートが、サクヤにとっては何度も繰り返した果てにやっと辿り着いたゴールであったということ。あまりにお話が上手すぎる。サブヒロイン√は割と薄めにつくられていて「通過点だしこんなもんだろう」くらいの感じでプレイしていたところでの、このどんでん返し。

「私なんかと一緒に町を出るんじゃ、全然満足できないから・・・・・・先輩はやり直してるんですよね」

しかもこのゲーム、些細な選択肢の連続で間接的にルートが決まるのではなく、「彼女を選ぶか」「切り捨てるか」の二択を提示してくるのがすごい。ループ物の選択肢としてかなり秀逸だと思っていて、プレイヤーに選択させるんですよね。お前がやっているのはそういうことなのだと念を押すように。これがこのサクヤシナリオで見事なまでにに効いてくる。

正直サクヤさんはただのよくいるサブヒロインだと高を括っていたので、この下剋上はかなりテンションが上がってしまった。

雑感

さくレットの製作チームの前作ということで、面白いんだろうなと思ってはいたけど、予想以上だった。個人的にはこっちのが好きかも。アメイジング・グレイス(大いなる恵み)というタイトルも本当に良くて、これのおかげで最後のファンタジー展開もすっと受け入れることができた感がある。

次は何をやろうかな。サマーポケット、ユメミルクスリあたりが気になっている。PS5が買えたら、十三機兵防衛圏とかニーアをやってみたい。

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