良かった作品 2021年3月
2021-03-28
# 良かった作品

紹介 / 感想を書きます。

ニセモノの錬金術師

https://www.pixiv.net/artworks/79386585

pixivで連載されていたネーム漫画。第一部が完結済み。

とにかく面白かった。読み味としてはハンターハンターが一番近かったかもしれない。展開の予想のできなさというか、ウェブ連載のなんでもありなドライブ感、ポンポンと連続でイベントが発生して休む暇がない感じはチェンソーマンを彷彿とさせるものがあった。

誠実に物事を掘り下げていけばこれほど面白い物語ができるということに感動してしまった。世界の在り方が地に足ついていて、チートスキルは万能じゃないし、奇跡のように見えることにもちゃんとロジックがあったり。まず世界があり、そこでの物語が描かれている、みんな必死に生きている。それはモブを含むキャラクターたちの魅力に直接繋がっており、その切実さが物語をさらに面白くさせる、みたいな。

主人公と師匠の関係性が結構好きで、師匠が主人公をずっと騙していたことを知ってしまう回想シーンがあったり、割と主人公をいじめるところしか最初は描写されなくて、その時はうわー悪い人だなと思っていたんだけど、でもパラくんは師匠のことを悪く言いつつもどこか尊敬しているような感じで、その描写から、漫画で描かれていないところでいろいろなことがあって、実際はそこまで悪い仲では無いんだろうと想像できるという感じが良かった。行間の作り方が上手いというところが多々あったように思う。読者の知らないところでも物語は生まれていているということが分かる感じが好き。

ノラさんがかわいくてかっこよくて作中で一番好きなんですが、これまた面白いキャラ造形をしていて、まず第一に奴隷という身分がある。いわゆる異世界転生モノの奴隷というと主人の言うことを聞く従順なヒロインという説明で完結するようなキャラが思いつくが、ノラさんはそれに収まらず裏主人公と言っても差し支えないほど活躍する。主人公が好きで従順で、というテンプレートには沿っているが、従うのは契約があるからで、奴隷であることを受容しながら(というかむしろ利用しながら)基本的に自分の意思で行動してているのが良い。ここはノラさんがダリアさんに常に自分で考えるよう言っていたのも印象に残っていた。基本的にめっちゃ賢い人なんだけど、主人公が殺されたらその犯人を必ず殺すという執念も良く(ここで彼女が呪術師であるということが本当に効いてくる)、ノラさんがそこまで主人公のことを強く想っていることもそれまでの話で分かりすぎるほどに納得できるのもすごい。

ノラさんはパラくんへの感情表現もよくて、基本的に普段は主人と奴隷(または性奴隷)というロールに従っていて、本心はどうあれ最初から主人公好きな風に振る舞っていた。で、関係が発展したあとも、ずっとそのロールに則ろうとしているのが、気持ちはどんどん大きくなっているはずなのにそれを表に出さないのが、可愛くて最高だった。

ウマ娘

今月はずっとこのゲームをやっていた。

キャラ萌え+育成要素+レース優勝を目指すストーリー、これらが合わさって最強に見える。育成していると情が湧くし絶対に優勝させてやりてえと思ってしまう。色んなスタンスの子がいるけどみんなが共通して一番になりたいという思いを内に秘めていて、良い。

走って競走するだけって見てて面白いんかいと思ってたけど、これがかなり見応えがある。ひとりひとりのウマ娘にそれぞれの想い、バックボーンがあり、皆が一番を目指していて全力で駆けている。レースはただ見るだけでこちらからは何も操作できなくて、ただ応援することしかできないのだけど、これがかなり体験が良く、競馬というコンテンツの魅力を強く感じた。

そして全員が可愛い。こういう属性は特にタイプじゃないんだよな、みたいな子でも育成してると好きになってしまう。このあたりは本当に洗練されていると思った。うまぴょい伝説とか初見はなんじゃこらゃと思ったけどなんだかんだ周回中でも決勝優勝するたびに見てしまう。よくできてる・・・。

アニメも見ました。2期2話と2期10話でありえんほど泣いてしまった。チームカノープスが大好きなので早くプレイアブルで実装してほしすぎる。オグリが主人公の外伝漫画、シンデレラグレイも迫力ある画でかなり良かった。

すっかり現実の競馬にも興味が出てしまい、最近はWikipediaで競走馬の生涯を読んだり過去のレース動画を漁る毎日に。ダスカとウォッカのチューリップ杯とかテイオーのラストランとか、現実の競馬もなんかめっちゃ泣けてしまう。分かりやすいドラマがある。近いうちに実際に競馬を見に行きたいな。

最果てのソルテ

水上悟志の新作長編ファンタジー。シンプルにスタンダードに面白く、この安定感は本当にすごい。1巻の感想としては、これから冒険が始まるのだ、というワクワク感。これに尽きる。続きが楽しみ。

空が灰色だから

ぐちゃぐちゃな感情をありのままに剥き出しに描く感じが良い。鬱系かと勝手にイメージつけてたけどそんなこともなく全体の雰囲気としては塩舞いのプロトタイプっぽさも感じる。後味が悪い話も不思議と読み味自体は悪くないのがすごいなーと思った。

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