『白昼夢の青写真』感想
2020-11-28
# ノベルゲーム

クリアしました。

泣きゲーとしてかなり高水準だったと思います。やや設定過多なところはあったけども、常に続きが気になる展開でぐいぐい読ませてきました。バラバラの物語が1つに繋がっていくやつが好き。シナリオ別にOPEDあるのも良かった。

以下感想。ネタバレありです。

case1

私だけがなにも変化せず、この場所に留まり、同じ毎日を繰り返す。

おじさん主人公が良かった。枯れ切った思考回路が性に合う。そんな灰色の世界に現れる白髪のヒロイン。色々なことに雁字搦めになって、深みにはまっていく2人。段々と生活が壊れていく、退廃的な展開が良かった。そしてそれは同時に社会から感じる閉塞感だったり、気づかぬうちに縛られていた規範を壊していく話でもあって。

ヒロイン造形もよくて、最初はミステリアスな強キャラっぽいんですけど、初めて怒られるということを経験してめちゃくちゃ凹んでしまうところとか、なんだかんだ主人公の言う事を愚直に、素直に、実践しているのとか、徐々に人間味を出してくる感じ。負けず嫌いなとことか嫉妬深いとことか(主人公宅で全てを上書きしようとしてくるの本当に最高)、そういうところを後出ししてくるんですよね。この作品、全ヒロインをこのギャップ萌え的手法で描いてるので、ライターの並々ならぬこだわりを感じてしまう。

case2

「これで死んでも悔いはないだろ」

素直にお話が面白かった。一番好きかもしれない。雰囲気最悪なへっぽこ劇団が団結して成長していく過程。引用の台詞、ずっと夢だった宮廷演劇の場で、心の底からの本心で言っていそうで本当に良いんだ。

劇中劇で悲劇を演じて、本筋もきっちりと悲劇として描き切っていたのも良かった。悲劇という物語体系が好きだなという気づきがあった。バッドエンドと同値ではなく近似値くらいの、ほんの少しの救いがあるくらいの悲劇が好きっぽい。case2のストーリーはまさにそれくらいのバランスだった。

case3

「ヘンな人生を、歩んできたのです」

ヒロインが良い。楽しいこと大好きな適当人間で、でも母親のために自分を殺して努力ができる人で、諦観と共に「私馬鹿だから」と自虐するような人。そんな人が言う「自分が好きな自分でいたい」という台詞が良い。

どのcaseでも主人公とヒロインの関係性の始まりと同時に、関係性の終わりが示唆されている。特にcase3は顕著で、期限付きの旅路、終わりが明確に定まっている旅をするんですよね。三秋作品的な別離が予期された関係性。個人的好みで言えばエピローグ後の話は無くてもよかったかも。成就した恋路ほど語るに値しないものは無いとも言うし。

case3は家族の話をやっており、親子愛の話に弱いので、まあめちゃくちゃに泣いてしまった。「物より人を撮るのが上手い」という文脈からの、家族写真の伏線、ダイレクトに喰らってしまった。父親がかなり人格者で良かった。

case0

記憶欠落、セカイ系、SF設定、このあたりは特に語るところもなくという感じだった。case1-3の再演だったり細かい演出は良かったですが、ストーリー運びはやや月並みなのが惜しかった。どうしてもどこかで見た展開を継ぎ接ぎしたように感じてしまい、うーむ......。

ただ、trueEND後にスタート画面のイラストが変わる演出はめちゃくちゃ良かった。イラストだけでボロ泣きしてしまったのは初めてかもしれない。あとヒロインの各人格が主人公にエール送るとこも好きだった。


来月はなにやろうかな。ダンガンロンパかすばひびかな・・・。

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