久々に見返した。いやー、何回みても良いです。
折角なので2年前くらいにメモ帳に雑記してあった4000文字くらいの感想を引っ張りだしてみた。色々暴走気味でお恥ずかしいですが…。▼マークは引用文っぽい。
2015/7/1
響けを見れて、この1クール幸せだった・・・。 空前絶後の大傑作。琴線に触れる箇所が多すぎて多すぎて。 というわけで思い入れも大きいので割りと本腰入れて書いていきたいと思う。
ストーリーは弱小吹奏楽部が奮闘して全国大会出場を目指すという至って普通の王道的なもの。おそらく、京アニ以外の会社が作ってたら凡な作品になっていたと思う。そして京アニの"上手さ"が際立つ作品だなと改めて感じた。
原作が一般小説ということで、内容は様々な人間模様が描かれていてしっかり詰っている。最新話を見るたびに「ああこの話が今までで一番好きだ」なんて言ってしまうほどに加速度的に面白くなっていった。
▼:傍観者視点で視聴者に近い立場に居た主人公がラス前1話で傍観者の殻を脱ぎ捨てて真の主人公に成り代わるっていうストーリー構成が本当に綺麗だった。1話からのロングパスも全部12話で見事に回収。
ライトノベルにありがちな突飛な設定もなく、等身大なキャラクターたちが織り成す物語はついつい感情移入してしまう。原作者が大学生さんなこともあって、なんというか思春期特有の人間関係というか思想というかがリアル。そのおかげでこういう団体競技の苦悩や喜びみたいなものがスッと心の中に入ってくる。ああ、これは楽しそうだと。こういう主人公と同じ目線で見れるアニメって早々無い。
▼:派手さはないけど、10代特有の空気感が上手に表現されてる。本人たちでは言葉にできない不定愁訴みたいな心の動きを丁寧に拾ってるのが好きだ。
それでいて、ちゃんとアニメ風に絶妙なアレンジや改変を加えてあるところは流石の一言。数話アニオリが挟まれてましたが、どれも作品の出来を相乗させるものだったのが凄いですよね。
「夏紀先輩のキャラ・髪型変更」「最初は久美子に"高坂さん"と呼ばせる」あたりは本当に良改変だったと思う。前者は言うまでもなく、4話のアンニュイな雰囲気にノックアウトされた視聴者は数知れぬ。後者がまた面白くて、良い具合に序々に仲が深まる感じを助長してます。この"止まっていた時間が動き始める感"です。対すると夏紀は"一からだんだんと加速していく物語感"かな。最初に比べたら随分変わったよなあ。
▼:黄前久美子の「れーな」呼び、ただ単に名前を呼んでいる以上の高坂麗奈に対する諸々の甘ったるい感情がこれでもかと篭められているのが存分に伝わってくるし最高すぎる。
こういう微百合要素も楽しめるところが私的には滅茶苦茶琴線に触れました。おまけ要素としての百合って感じが丁度良いです。久美子と麗奈の間にあるのは百合的感情のように見えるが、その実存在するのは絆というか友情というか"特別なもの"であって、この上手く言い表せれない関係性がもう最高に素敵です。
▼:孤立してた麗奈が葉月や緑輝と仲良くなって一緒にご飯食べるような慣れ合いアニメだったら見てないわ。久美子が悪友に引かれて道を外していくからこそこのアニメは面白い。
そして恋愛要素。まあ秀一と久美子、最高。幼馴染特有の近すぎる距離感が辛抱堪りまらない。願わくばもっと軽口叩き合ってほしい。久美子の秀一へのデレの破壊力は絶対にヤバい(確信)。「久美子ラブストーリー」を作ってくれ・・・。1話から進展を待ち望んでいたんですが今期ではテーマでは無かった模様。途中の百合的展開もウェルカムなんだけども。
と思ってたら最終回でやってくれました。いやあ、最高、とても良かった・・・。そう、そういうほんの少しの恋愛要素で良いんだよ・・・。やっぱり京アニさんは"分かってる"。拳を差し出してるのに気づいてもらえない久美子が可愛すぎて爆発した。やっぱり久秀がナンバーワン!ツン9デレ1くらいのデレが一番破壊力高いことを痛感する。
まあちゃっかり久麗要素も入れてきました。今作、"百合と恋愛"について悪く言えばどっちつかずとも言えるが、個人的には恋愛要素も百合要素も丁度良い塩梅で楽しめました。"たまこま"と比べると段違いに良くなったと感じた。
続いてキャラクターについて。
こういう登場人物が多いアニメは指数関数的に面白くなるの法則。例に漏れず8話あたりから爆発しました。さっきも述べたけどこの作品、登場人物全員が現実的で等身大で、アニメ的な感じが無い。まあ原作が一般小説なのが遠因なのだろうが。そしてこれが顕著に現れているのが主人公の久美子であろう。明らかに他の作品のキャラクターにはない魅力がある。なんだろう、劇中で散々「性格悪い」云々言われてるんだけど、何故だかどうしようもなく愛おしい。
▼:主人公ちゃん、若干黒いけど、嘘はつけない感じいいなぁ。
格好良いところや、可愛いところもあるキャラクターは沢山いますが(最近だと「SHIROBAKO」のみゃーもり・エリカ先輩とか)こういう「マイナスな面」をも魅力に変えてしまう登場人物は良いキャラが多いと思う。これと真逆のキャラクターが「ダンまち」のベルくんで、彼はその聖人君子っぷりが疎まれていたりする。
まあ何はともあれ、久美子のどこにでもいそうで限りなくリアルに近い感じが狂おしいほど好きなんだよなあ。秀一とか、気を置く相手には声のトーンを露骨に変えるとことかが最高すぎるんですよね。最高すぎる。久美子の3大可愛いシーンは最終的に「ご静聴ありがとうございました」「電車で大あくび」「とびけらやだー」でした。
勿論久美子の他にも夏紀先輩・部長・麗奈etc...と好きなキャラクターばかりなんですけど流石に時間が無いので割愛。
続いて作画・演出面について。緻密な作画はさながら芸術品のようであった。 まあここは流石京都アニメーション。作画レベルで右に出る制作会社は今のところ皆無ですね。
▼:画面が感動するほど綺麗だった。
実は京アニ作品を真剣に見たのが久しぶりだったのもあって、1話見たときにはたまげました。桁が違いすぎて。ただ単に画が綺麗というだけではなくて画面の効果の入れ方、構図のとり方、感情芝居、どれをとっても一級品なところが凄い。あと今作ではデフォ絵が割りと多くて少し意外に思いました。京アニがこういう崩した絵を描くのは初めてみるかもしれない。
▼:キャラデザや止め絵が可愛いアニメはいっぱいあるけど動きや仕草が可愛いアニメとなると希少。キャラの何気ない動作がいちいち丁寧で感心するわ。やっぱこの領域で京アニは他の追随を許してないな。
続いてサウンド・音響面について。 まあなんといってもこの作品の魅力は「音」だろう。様々な「音」がこの作品の魅力を底上げしている。
第一に演奏。吹奏楽を題材にした作品なのでまあ音に凝ってもらわないと困るんだけど、正直十分脱帽でした。「きらきら星」「ライディーン」「愛を見つけた場所」「三日月の舞」と、劇中歌をこれでもかというくらい入れてきます。それでいてどれも素晴らしい。特に「三日月の舞」は練習シーンとかで断片的に耳に入れてるので、全部が繋がったらと思うと楽しみが隠し切れなかった。
そしてなんといっても今作の演奏シーンといえば第2回ソロオーディション選抜の麗奈と中瀬古。トランペットってこんな綺麗な音が出せるのかと視聴中はこんな小学生並みの感想みたいなことを思いながら聴いていた。
最終話の演奏シーン、素晴らしかった。流石にFULLは無理だった模様。 トランペットのソロってそれこそ一人だけで吹くのかと思ってたから低音との重奏は予想外で、良かった。 ちゃんとした演奏をOSTで聴きたいといった感じ。実際のコンクールもこんなに上手なのかな。是非見に行ってみたい。
第二にBGM。久しぶりにBGMが良い作品を見た気がする。凪あす以来だろうか。 特に心に残っているのが「1話の久美子が入部を決意するまでの一連」「5話の決別」「8話の山頂」のシーン。このへんのBGMは本当に神懸かってた。特に8話の山頂シーンはBGM・作画・演出・雰囲気・台詞が相まって凄いことになってた。
第三に声。まあ久美子の声優さん。ハマリ役にも程があるでしょうってくらいこれは凄かった。何の誇張も無しに、久美子の魅力の70%はその声にあると心底思う。時々出る"素"の感じが狂おしいほど好き。時々入る詩的なナレーションもすんなり入ってくる。抑揚のつけ方が上手だなと。
そしてこの声がまた"どこにでもいそうなリアルな女の子"感を醸し出している。こういう"自然さ"を感じることなんて滅多に無い。特に感嘆した箇所を3つ挙げるなら4話「ご静聴アリガトウゴザイマシタ」11話「いやだ!」12話「上手くなりたい」あたり。癖のある声の登場人物って結構居ますが、なんかそういうキャラって例外なく好きな気がするなあ。エイラ然りユリカ然り。
本当にとんでもない作品が来たものです。SHIROBAKOの次クールにこれだからなあ、何が起きるか分からない。白箱→響けと、何だか騒ぎすぎて疲れた感まである。来期もシャーロットあたりが来そうで嬉しいやら嬉しくないやら・・・。原作は三部作なので、2期3期とまではいかなくても、劇場2部作くらい期待したいなぁ。
「作画・物語・音楽」3拍子揃った、最初から最後まで「音楽」してる傑作でした。