衝撃を受けた。
映像美、ストーリーの美しさ。
期待値ゼロ補正もあったけど、思いっきりド真ん中ぶち抜かれた。
非常に扱いが難しいとされる原作を、ここまで綺麗に纏めているとは。
そして、オリジナル展開であるラストシーンはただただ、見事だった。最高。
この作品を『石田将也の物語』にしたのは英断としか言いようがない。
これは、卑屈な主人公に届いた、周りの世界の"聲の形"を描いた作品なのである。
ラストシーンの演出がとにかく凄すぎる。音が、映像が、カタルシスが。
この一瞬に映画『聲の形』の全てが集約されている。
これはアニメ作品でしか表現できない。
そして、硝子が、植野が、結弦が、よかった。
感情が見え隠れする、表情が良いのだ。
序盤の強がる結弦が好きで、
中盤でポニーテールにした硝子が大好きで、
終盤の植野のぶっきらぼうな「おかえり」が狂おしいほどに大好きだ。
植野、好きなんだよな。エロい。自転車の荷台に跨るシーン、思わず目を奪われた。毎日お見舞いに行ったりする献身っぷりに「決して報われない運命」が重なるのが、切ない。 自分にも相手にも正直なところとか、愚直な感じが愛らしい。根っこは良い娘なのである。
結弦が好きだ。公園の遊具の中で主人公と邂逅して、別れた後の揺れる瞳が好きすぎる。将也と一緒に勉強してるシーンが好きだった。この二人の距離感がたまらない。 強さと弱さが両極端な不安定さ、そして以外と甘えん坊なのも最高だった。
硝子とのラストシーンが良かった。原作は最後だけ未読だったから、落としどころが楽しみだったのだけれど、これは巧いことやった。自分の中でストンと腑に落ちた。泣きじゃくる硝子を前にして将也が絞り出した『生きるのを手伝ってほしい』の一言。珠玉の名台詞だ。自己肯定に乏しい二人にピッタリの、愛に溢れた告白なのだ。
これは何回も見たい作品。最高の劇場作品であった。